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情報屋File #224 HIVワクチン開発に光明


エイズウイルス(HIV)

皆さん こんにちは! 情報屋です!  今日の注目記事をご覧下さい。
(cnn.co.jp)より転載。
(引用開始)


HIVワクチン開発に光明、感染リスク低減と 米軍医療機関

(CNN) エイズウイルス(HIV)のワクチン開発を進める米陸軍の医療機関と米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)は、タイで実施した新型ワクチンの臨床試験で、感染リスクを低減できうる結果が得られ、HIVワクチンの開発に光明が見えたと明らかにした。詳細は10月にパリで開かれるエイズ・ワクチン会議で発表する。

NIAIDなどの研究者は、タイの18歳から30歳までの1万6000人以上を対象に、臨床試験を実施。半数に仏サノフィ・パスツールなどが開発したワクチンを、残る半数に対照試験として偽薬(プラセボ)を接種した。ワクチン接種後、3年にわたって被験者を追跡した。

その結果、ワクチンを接種したグループでHIVに感染したのは51人だったが、プラセボ接種グループでは74人と、有意差が認められた。感染リスクは約31%、ワクチン接種グループで低かった。

米陸軍のジェローム・キム大佐は、臨床試験で用いたワクチンは、タイで流行しているHIVに対応したものであり、他地域での有効性は不明だとしながらも、これまで不可能だと考えられていたHIVワクチンの開発に道が開ける結果だと指摘している。

(引用終了)
(2009年9月24 cnn.co.jp

関連動画 (PC視聴可能)
(英語)


エイズウイルス(HIV)とは
ヒト免疫不全ウイルス(ヒトめんえきふぜんウイルス、英: Human Immunodeficiency Virus, HIV)は、人の免疫細胞に感染し免疫細胞を破壊して、最終的には後天性免疫不全症候群(AIDS)を発症させるウイルスである。俗に「エイズウイルス」と呼ばれることがある。

概要
ウイルスの分類上は、エンベロープを持つプラス鎖の一本鎖RNAウイルスであるレトロウイルス科レンチウイルス属に属する、HIV-1(Human Immunodeficiency Virus type1)とHIV-2(Human Immunodeficiency Virus type2)が存在する。

霊長類を自然宿主とするサル免疫不全ウィルス(Simian Immuno-deficiency Virus, SIV)が、突然変異によってヒトへの感染性を獲得したと考えられている。ウイルスの塩基配列を比較すると、HIV-1はチンパンジーから分離されたSIVcpzに近く、HIV-2はマカクやマンガベーなどのサルから分離されたウイルスSIVmacやSIVsmmに近い。この様な事から、SIVに感染したサルからヒトへと感染し、HIVに進化した物と考えられている。HIV-1とHIV-2の基本的な遺伝子の構造はほぼ同じであるが、塩基配列の相同性は低く60%ほどである。最も大きな遺伝子の相違は、HIV-1にはvpu、HIV-2にはvpxがそれぞれに存在する事である。またこの相違はSIVcpzとSIVsmmの間にも見られる事から、HIV-1とHIV-2はそれぞれ独立した祖先から、人間に感染する能力を持ったウイルスに進化したものと考えられている。

HIV-1は塩基配列により3群に分類されている。グループM(Major)、グループO(Outlier)、グループN(non-M/non-O)に分けられるが、世界的に分布しているウイルスの多くがグループMに属している。グループMはさらにA、B、C、D、E(後に組換え体であるCRF01_AEである事が判明。純粋なEは未発見)、F、G、H、J、Kの10のサブタイプに分類される。更にこのサブタイプ間での組換え体が存在し、CRF(circulating recombinant form)が15種類確認されている。日本の感染者の主なサブタイプは、BとCRF01_AEであり、サブタイプBがおよそ75%、CRF01_AEが20%、残りがそのほかのサブタイプとなっている。

2009年、HIV-1にゴリラ由来とみられる新種が発見され、グループPとして分類された。

歴史
1983年にパスツール研究所のリュック・モンタニエとフランソワーズ・バレシヌシらによってエイズ患者より発見され、LAV(Lymphadenopathy-associated virus)と命名された。1984年にアメリカ国立衛生研究所(NIH)のロバート・ギャロらも分離に成功しており、HTLV-III(Human T-lymphotropic virus type III)と命名した。続いてカリフォルニア大学サンフランシスコ校のレヴィらも分離に成功しARV(AIDS-associated retrovirus)と命名された。1985年にモンタニエらが別のエイズの原因ウイルスを分離し、LAV-2(Lymphadenopathy-associated virus-2)と命名された。LAV、HTLV-IIIおよびARVは、後にいずれも同じウイルスである事が明らかとなりHIV-1と改称され、LAV-2はHIV-2と改称された。

最初の発見者をめぐってモンタニエとギャロの仏米の研究チームが長年にわたって対立し、1994年に両者がともに最初であるとして決着したが、長期の対立はエイズ治療薬の特許が絡むもので、治療薬の発売を遅らせないための政治的決着であった。

2008年10月6日、フランスのモンタニエとバレシヌシの二人がウイルスの発見者として2008年のノーベル生理学・医学賞を授与されることが発表された。

症状
非常に変異しやすいウィルスでありウイルスの表面抗原がそれぞれ違うといえるほど多種多様な型がある。その為、ワクチンを作成する事は困難である。特定の抗原に対して抗体を作ることが出来るワクチンを作成する事に成功したとしても、すぐに変異ウイルスが出現してしまい、臨床で実用することが難しい。

病原性
HIVは免疫機能の発動に必要なCD4+T細胞というリンパ球などに感染し、比較的長い潜伏期の後に活性化してCD4+T細胞を破壊してしまう。CD4+T細胞が著しく減少すると体内の免疫力が極度に低下し、免疫が正常であれば排除できるような病原体にも簡単に感染する日和見感染を起すようになり、容態が不安定になる。進行すれば、その他の合併症等を引き起こし死に至る事も多い。

エイズとはこのように感染後の潜伏期を経て陥ってしまう免疫不全状態を指し、単にHIVに感染しただけ(HIVキャリア)ではエイズとは呼ばない。他にも、HIVは脳神経の免疫を担うミクログリア細胞に感染する事が判明しており、HIVに感染したミクログリア細胞が神経系組織に影響を及ぼし、精神障害や認知症など神経症状を呈するエイズ脳症を引き起こす。

感染経路
HIVは通常の環境では非常に弱いウイルスであり、一般に普通の社会生活をしている分には感染者と暮らしたとしてもまず感染することは無い。感染する原因の内訳は、肛門性交によって感染する割合が最も高い(必然的に同性間での性的接触による割合が多くなる)。それは妊娠のリスクが無い為、性交時にコンドームを使用せず、直腸内で射精する行為が多い為である。次いで異性間の膣性交によるものが多い。全体の多くは性行為による感染で、注射器の使い回しによる感染、母子感染などが後に続く。

一般に感染源となりうるだけのウイルスの濃度をもっている体液は血液・精液・膣分泌液・母乳が挙げられる。

一般に感染しやすい部位としては粘膜(腸粘膜、膣粘膜など)、切創(せっそう)や刺創(しそう)などの血管に達すような深い傷などがあり、通常の傷のない皮膚からは侵入する事はない。その為、主な感染経路は以下の3つに限られている。

性的感染
性交による感染では、性分泌液に接触する事が最大の原因である。通常の性交では、女性は精液が膣粘膜に直接接触し血液中にHIVが侵入する事で感染する。男性は性交によって亀頭に目に見えない細かい傷ができ、そこに膣分泌液が直接接触し血液中にHIVが侵入する事で感染する。その為、性交でなくても性器同士を擦り合わせるような行為でもHIV感染が起こる恐れがある。また肛門性交では腸粘膜に精液が接触しそこから感染するとされている。腸の粘膜は一層の為に薄く、HIVが侵入しやすい為、膣性交よりも感染リスクが高い。
コンドームの着用がHIVの性的感染の予防措置として有効である。ただし使用中に破れたり、劣化した物を気付かずに使用する場合があるため、完全に感染を防ぐことができるとは言えない。コンドームの使用に際しては、信頼できる製品を使用期限内に正しい用法で用いることが推奨される。
また割礼によって感染リスクが低減するという研究結果が複数ある。傷つきやすく、免疫関連細胞の多い包皮を切除することで、HIVの侵入・感染が抑えられる為だと考えられている。
なお口腔で性器を愛撫する場合も、口腔内に歯磨きなどで微小な傷が生じていることが多く、そこに性液が接触することで、血液中にウイルスが侵入する恐れがある。

血液感染
感染者の血液が、傷、輸血、麻薬まわし打ち等によって、血液中に侵入する事で感染が成立する。特に麻薬・覚醒剤中毒者間の注射器・注射針の使い回しは感染率が際立って高く、99.999999%感染するといわれている。以前は輸血や血液製剤からの感染があったが、現在では全ての血液が事前にHIV感染の有無を検査され、感染のリスクは非常に低くなっている。医療現場においては、針刺し事故等の医療事故による感染が懸念され、十分な注意が必要である。

母子感染
母子感染の経路としては三つの経路がある。出産時の産道感染、母乳の授乳による感染、妊娠中に胎児が感染する経路である。
産道感染は子供が産まれてくる際、産道出血による血液を子供が浴びる事で起こる。感染を避ける方法として、帝王切開を行い母親の血液を付着させない方法があり、効果を上げている。
母子感染の経路として母乳による感染が報告されており、HIVに感染した母親の母乳を与える事は危険とされている。この場合は子供に粉ミルクを与える事によって、感染を回避する事が出来る。
胎内感染は、胎盤を通じ子宮内で子供がHIVに感染する事で起こる。物理的な遮断が出来ない為、感染を回避する事が難しい。感染を避ける方法として、妊娠中に母親がHAART療法により血中のウイルス量を下げ、子供に感染する確率を減らす方法がとられている。

治療
HIVがレトロウイルスである事から、HIV自身が増殖に必要な酵素を阻害する、逆転写酵素阻害剤(NRTI)、プロテアーゼ阻害剤、非核酸系逆転写酵素阻害剤 (NNRTI) が開発され治療薬として使われている。現在のHIV治療はこれらを複数組み合わせて使用する。これは多剤併用療法、HAART(HAART療法、Highly Active Anti-Retroviral Therapy)、カクテル療法などと呼ばれている。また、ウイルスが細胞に取り付くところを抑制する薬剤(フュージョンインヒビター)の開発もされ、米国及び、EUで認可されている。HIV治療薬は適正な使用によりHIVの増殖を抑制し、患者の免疫機能を回復させ病勢の進行を遅らせるのに一定の効果があり、現在ではHIV感染症は長期にわたりコントロールできる疾患になりつつある。しかしHIV自体を体内から排除する根本治療ではない。

また、現在では抗ウイルス薬とは全く違うアプローチでHIVを阻止しようという試みもあり、臨床実験が行なわれている。


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◆今日の格言(09/24)◆
人生の教訓がここに!偉人の名言・格言


人生の目的に対する疑問は無限といってよいほどにしばしば提出されてきているが、ついぞ満足できるような答えが与えられたことはない。また、そのような答えはおそらく決して許されないものなのだろう。

フロイト

◆今日の雑学(09/24)
ムダ!?で役立つ知識


脳のある部分に電気的刺激を加えると、忘れていた昔の記憶がよみがえることがある。

◆幸福の格言(09/24)
結局幸せって!?


寝床につくときに、翌朝起きることを楽しみにしている人は幸福である。

ヒルティ

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情報屋File #223 クリントン氏のインタビュー秘録出版へ


故ボリス・エリツィン(Boris Yeltsin)大統領が亡くなる前

皆さん こんにちは! 情報屋です!  今日の注目記事をご覧下さい。
(jiji.com)より転載。
(引用開始)


泥酔エリツィン氏、路上で「保護」=クリントン氏のインタビュー秘録出版へ−米

 【ワシントン時事】クリントン元米大統領が在職中、ひそかに行われたインタビューをまとめた本が近く発売されることが、23日までに明らかになった。USAトゥデー紙によると、大統領選で敗れたゴア副大統領(当時)から、不倫などクリントン氏のスキャンダルが敗因の一つと指摘されたことや、エリツィン・ロシア大統領(同)が訪米中に泥酔し、ホワイトハウス近くで保護された「秘話」も盛り込まれている。
 「ザ・クリントン・テープス」(約700ページ)と題した同書は、クリントン氏の友人でピュリツァー賞受賞ジャーナリストでもあるテイラー・ブランチ氏が執筆。公開請求を避けるため、インタビューを録音したテープの存在は秘密にされていた。
 同書は、エリツィン氏が1995年に訪米した際、深夜に泥酔し、ホワイトハウス近くの路上で下着姿で立っているのをシークレットサービスが見つけた「事件」を記述。エリツィン氏は、ピザを買うためタクシーを拾うつもりだったと、ろれつが回らない状態で説明したという。(2009/09/23-15:52)

(引用終了)
(2009年9月23 jiji.com

関連動画 (PC視聴可能)


ボリス・エリツィン大統領
ボリス・ニコラエヴィチ・エリツィン(ロシア語: Борис Николаевич Ельцин、ラテン文字表記:Boris Nikolayevich Yeltsin、バリース・ニカラーイェヴィチ・イェリツィン、1931年2月1日 - 2007年4月23日)は、ロシア連邦の政治家で、同国の初代大統領(在任: 1991年 - 1999年)である。

大統領在任中に冷戦の終結に成功しロシア連邦の民主化を行なったことへの評価と共に、後の強権政治や政治腐敗への批判もあった。

青年期
スヴェルドロフスク州タリツァ地区ブトカ村生まれ。家系はウラル地方の独立農民。父は富農撲滅運動で無実の罪を着せられ収容所生活を送った。自伝によれば、エリツィンは共産主義をとったソビエト連邦時代において幼年期にロシア正教会でキリスト教の幼児洗礼を受けたという。第二次世界大戦中に武器庫から盗んだ手榴弾を分解している最中に、手榴弾が暴発し、左手の親指と人さし指が失われた。ベレズニキ(Berezniki)にあるプーシキン高校(Pushkin High School)を卒業。1955年にスヴェルドロフスク(現エカテリンブルク)にあるウラル工科大学建築科を卒業する。その後、1968年までスヴェルドロフスク州にある建設企業に勤めた。

ソ連共産党
1961年、ソ連共産党に入党する。1968年に党の活動に専従し、1976年にスヴェルドロフスク州党第一書記に就任する。なお、1977年には党の指示によりニコライ2世一家殺害現場のイパチェフ館を取り壊している。さらに、レオニード・ブレジネフ書記長に抜擢され、1981年にソ連共産党中央委員となる。

ミハイル・ゴルバチョフ書記長の就任後、1985年にソ連共産党政治局員候補兼中央委員会書記に就任。ブレジネフ派の大物であるヴィクトル・グリシンがモスクワ党第一書記を解任されると、1985年12月に後任のモスクワ党第一書記に就任した。

ゴルバチョフの下では改革派として行動したが、ゴルバチョフ政権におけるペレストロイカの遅れを強く非難したため、他の政治局員からのエリツィンに対する批判はゴルバチョフを驚かせるほど強いものとなる。1987年にブレジネフ派の大物エゴール・リガチョフを公然と非難したため、そのリガチョフと対立し、モスクワ市の党第一書記を解任された。さらに1988年2月には政治局員候補からも解任される。

ロシア共和国大統領
しかし、1989年3月の人民代議員大会選挙にモスクワ選挙区から出馬して当選し政界への復帰を果たす。この年民主綱領派のリーダーとなる。翌年の1990年5月にロシア共和国の最高会議議長(実質大統領)に就任。同年7月13日にはソ連共産党を離党宣言し世界に衝撃を与えた。1991年6月12日に行われたロシア共和国大統領選挙では57.3%の得票率を獲得して当選し、同年7月にロシア共和国大統領に就任。同年8月にソ連のゲンナジー・ヤナーエフ副大統領が起こしたソ連8月クーデターの際には戦車の上からロシア国民に対しゼネストを呼びかけるなど徹底抗戦し、民衆もこれを支持。結果としてクーデターを失敗に終わらせた。

この事件の後、ゴルバチョフの求心力が低下し、代わってエリツィンの影響力が増大する。同年11月6日、エリツィンはソ連共産党系のロシア共産党が活動することを禁止した。12月8日、エリツィンはウクライナのレオニード・クラフチュク大統領、ベラルーシのスタニスラフ・シュシケビッチ最高会議議長と秘密会談を行い、ロシア・ウクライナ・ベラルーシのソ連からの離脱と独立国家共同体(CIS)の樹立を宣言することで合意した(ベロヴェーシ合意)。ソ連崩壊は避けられなくなり、12月25日にゴルバチョフはソ連大統領を辞任。ソビエト連邦はその歴史に幕を下ろした。

ロシア連邦大統領

大統領就任
ロシア共和国大統領(任期5年)だったエリツィンはソ連崩壊後も引き続いてロシア連邦大統領としてロシアを主導した。

ソ連の事実上の後継国家であるロシアでは、アメリカとの関係改善が進み(連邦崩壊後も、ソ連時代の全ての核兵器をロシア共和国が所有することをウクライナやベラルーシに認めさせたのは、アメリカの助言によるところが大きい)、1993年には第二次戦略兵器削減条約(START II)に調印。

エリツィンはエゴール・ガイダルとアナトリー・チュバイスに経済政策のイニシアティヴを取らせ、国際通貨基金(IMF)等の国際機関の助言に従い「ショック療法」と呼ばれる急激な市場主義経済導入を図った。しかしこの急激な市場経済への移行は経済に混乱をもたらすことになる。市場経済化への一環として行われた価格自由化は1992年に前年比2510%ものハイパーインフレを引き起こし、民衆の貯蓄・資産に打撃を与えて多くの民衆を貧困に追いやった。また1992年の国内総生産(GDP)は前年比マイナス14.5%となってしまった。エリツィンは同年6月にガイダルを首相代行に指名し、経済改革を推進しようとしたが、このような経済政策の失敗から人民代議員大会から信任を得られなかった。そのためエリツィンはガイダルを解任し、代わりにガスプロム社長のヴィクトル・チェルノムイルジンを首相に指名した。その後、チェルノムイルジンは議会の信任を得、首相に就任した。一方、バウチャー方式[1]による民営化も行われたが、これを上手く利用して国有資産だった企業を手に入れ、莫大な富を築き上げる者も出現した。彼らはロシアの新興財閥として政治的にも大きな影響力を及ぼしていくことになる。

また、その過程で発生したアレクサンドル・ルツコイ副大統領、ルスラン・ハズブラートフ最高会議議長ら議会との対立は1993年9月の議会による大統領解任劇に発展。これをみたエリツィンは最高会議と人民代議員大会を強制解体し、両者の対立は頂点に達した。翌10月には反大統領派がたてこもる最高会議ビルを戦車で砲撃し、議会側は降伏した(モスクワ騒乱事件)。その後12月には大統領に強大な権限を与え、連邦会議と国家会議から成る両院制議会、ロシア連邦議会にする事を定めた新しいロシア連邦憲法が制定された。西側の主要国はエリツィンを支持した。

ロシアの威勢低下
その後、1994年にデノミを行うなど経済の混乱が続き、またチェチェン侵攻が失敗した結果、エリツィンの支持率は低下した。さらにエリツィン自身、持病の心臓病の手術による過労がたたり、政権に不安定さが目立つようになる。

1995年の下院選挙ではロシア連邦共産党(ソ連崩壊後に再建)が第一党となるなど、エリツィン反対派が議会の多数を占めた。続く1996年の大統領選挙ではそのロシア連邦共産党のゲンナジー・ジュガーノフ議長に肉薄され、大苦戦。劣勢を逆転させたい一念でアメリカから選挙キャンペーンのプロを呼び、また、テレビカメラの前で若者に混じりダンスを披露した[2]。そしてジュガーノフ当選による共産主義の復活を恐れたボリス・ベレゾフスキー、ウラジーミル・グシンスキーなど新興財閥から巨額の選挙資金を捻出させ、新興財閥支配下のメディアにエリツィン支持のキャンペーンを張らせるなどしてなり振りかまわぬ選挙戦を展開した。その甲斐あってか第1回投票で得票率35.3%の1位につけ、ジュガーノフとの決選投票に持ち込んだ。決選投票の前には、第1回投票で3位につけたアレクサンドル・レベジ退役大将を安全保障会議書記に任命して取り込み、決選投票でエリツィンは53.8%を獲得し結果的に再選を果たした。

しかし大統領選において新興財閥の力に大きく頼ったために第二次エリツィン政権では新興財閥の影響力が増した。また、大統領選前の1995年に株式担保型民営化[3]が行われていたことで、新興財閥は結果として石油産業ほか多くの国営企業を手に入れ、国有資産を私物化するようになっていた。彼ら新興財閥は「オリガルヒ」と呼ばれ、エリツィンの親族とともに「セミヤー」と呼ばれる側近集団を形成するようになる。このような「セミヤー」との癒着によりエリツィン政権は政治腐敗が蔓延していった。

相次ぐ首相交代
1998年5月、経済復興を実現するには力不足だとして、チェルノムイルジン首相を解任した。同首相は、5年間にわたる長期首相だったが、一説によると病身の大統領に代わり副大統領然として振舞っていたこと、あるいは経済界との腐れ縁を大統領が嫌っての解任とも言われる。後任には35歳のセルゲイ・キリエンコ第一副首相兼燃料エネルギー相が就任したが、8月17日にロシア財政危機が発生。短期国債の取引を停止し、事実上の債務超過に陥った。就任直後の出来事だったが、責任をとらされ、解任された。

キリエンコに替わって首相に任命されたのは諜報機関KGB出身のエフゲニー・プリマコフであった。プリマコフは、ゴルバチョフ時代にソ連共産党政治局員候補で、ソ連崩壊後のロシアで対外情報庁(SVR)長官や外相を歴任した実力者であった。やわな若手改革派ではこの危機を乗りきれないと考えられたのであろう。プリマコフ首相は、大統領よりも、議会重視のスタンスを打ち出し、共産党からも閣僚を一本釣りの形で起用し、議会の支持に依拠する珍しい内閣であった。ロシアは金融危機を乗り切るため、IMFに支援を要請、金融危機を沈静化させた。また、エリツィン大統領周辺の「セミヤー」「オリガルヒ」と呼ばれる側近グループの排除に乗り出し、ユーリ・スクラトフ検事総長に命じて汚職摘発を開始した。これによってプリマコフ首相の支持率は上昇したが、一方これに危機感を抱いた大統領によって1999年5月に解任された。

さらに後任のセルゲイ・ステパーシン首相も僅か3ヶ月で解職し、1999年8月にロシア連邦保安庁長官のウラジーミル・プーチンに首相を交代した。このように首相を短期間で次々に挿げ替え、自らの権力を維持するためになりふり構わぬようにも見える行動を繰り返すなど政権はレームダックの様相を呈し始めた。

政権移譲と晩年
1999年12月31日正午にテレビ演説を行い、電撃辞任を表明。後継の大統領として、当時首相だったプーチンを指名した。辞任演説では、国民の期待に応えられなかったことの許しを乞いたいと述べ、新しい時代のロシアには新しい指導者が求められていると語った。

その後表舞台からは姿を消し、悠々自適の年金生活を送ったという。プーチン政権については、2004年のベスラン学校占拠事件発生後に知事を大統領による任命制に改めたことに対しては批判をする一方、2006年2月にプーチンはロシアにとって正しい選択だったと賞賛している。同年6月3日、パリで開催されていた全仏オープン7日目を夫妻で観戦し、シャラポワから帽子にサインしてもらう姿が撮られている。くしくもこれが最後の公の姿となった。

2007年4月23日、長年の心臓疾患による多臓器不全(一部報道では心血管不全症とも)によりモスクワの病院で死去。76歳だった。4月25日に救世主ハリストス大聖堂にて国葬が行われ、プーチンはこの日を「国民服喪の日」とすることを宣言した。葬儀にはプーチン、ジョージ・H・W・ブッシュ、クリントンらが参列した。なお、日本からは要人が派遣できなかった[4]。葬儀後、遺体はノヴォデヴィチ修道院の墓地に埋葬された。

エピソード
議員時代に、泥酔し足を滑らせて川に転落。危うく命を落としかけるところを通りがかった警官に保護されて一命を取り留めるという珍事件に遭遇している。後にこれが「エリツィン議員殺人未遂事件」として騒ぎになった。本人も後年回顧録で非常に恥らいながら回想している。


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◆今日の格言(09/23)◆
人生の教訓がここに!偉人の名言・格言


はたして人は、不徳なくして徳を、憎しみなくして愛を、醜なくして美を考えることができるだろうか?実に悪と悩みのおかげで地球は住むにたえ、人生は生きるに値するのである。

アナトール・フランス

◆今日の雑学(09/23)
ムダ!?で役立つ知識


コアラはユーカリの木だけで生きている。他にはなにもいらない。水さえも。

◆幸福の格言(09/23)
結局幸せって!?


他人を幸福にするのは、香水をふりかけるようなものだ。ふりかけるとき、自分にも数滴はかかる。

ユダヤの格言

(1)
目標の見つけ方
(2)
もうガチャ切りさせない! 年間10億売った男の電話営業マニュアル

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情報屋File #222 ミサイル防衛(MD)システム


ミサイル防衛(MD)システム

皆さん こんにちは! 情報屋です!  今日の注目記事をご覧下さい。
(cnn.co.jp)より転載。
(引用開始)


米政府がMD計画中断、オバマ氏がチェコ首相に電話で説明とも

(CNN) ポーランド国防省の報道官は17日、米国政府がブッシュ前政権時代にポーランドやチェコで進めていたミサイル防衛(MD)システム配備計画について中断を決めたと明らかにした。チェコのフィシェル首相は17日、声明を発表し、オバマ米大統領と16日、電話で会談し、MD計画の棚上げを知らされたと述べた。理由については触れなかったという。

同計画ではポーランドに迎撃ミサイル基地を、チェコにレーダー基地を建設する予定だった。ポーランド国防省の報道官は、計画中断はポーランドにとって甚大な影響を及ぼすとの強い懸念を表明した。一方、ワルシャワ駐在の米国大使館報道官はこの問題での最終決定はされていないと述べた。

MD計画中断については米紙ウォールストリート・ジャーナルが、MD推進に詳しい消息筋の情報として最初に報道。MD推進の根拠としていたイランの弾道ミサイルの脅威が当初の分析より大きくないと判断したことなどが要因としていた。

米国防総省はゲーツ長官とMD担当の米統合参謀本部の副議長による会見が17日朝に行われると発表しているが、この席でMD問題に言及があるとみられる。

一方、チェコ国防省報道官によると、同国外務省、国防省に米代表団が加わった会合が17日に予定されている。MD問題が議題だという。

MD計画についてはロシアが自国のミサイル防衛網を無力化するとして強硬に反対。今年7月の米ロ首脳会談でもMD問題は取り上げられ、オバマ大統領はイランや北朝鮮のミサイルの脅威を念頭にしたものとの米政府の従来の見解を繰り返していた。ただ、オバマ氏は、イランの弾道ミサイルの脅威が続けばMD計画を支持するとの考えも示していた。

(引用終了)
(2009年9月17 cnn.co.jp

関連動画 (PC視聴可能)
(英語)


ミサイル防衛(MD)とは
ミサイル防衛、略称MD(Missile Defense)またはBMD(Ballistic Missile Defense)とは、主に弾道ミサイルからある特定の区域を防衛することである。ミサイル防衛は時代と共にその名称が変遷してきた。

歴史

ミサイル防衛の始まり
核ミサイルが登場した当初から、これを爆発前に打ち落とす技術の開発は始まっていた。

1960年代には米ソの双方でABM(Anti-Ballistic Missile)と呼ばれる弾道弾迎撃ミサイルが開発されている。当時は精密誘導技術が未熟だったため、迎撃ミサイルにも核弾頭を搭載し、核爆発の広範な破壊力によって命中率を補う方式であった。これにより、相互確証破壊の崩壊を懸念してABMの配備を制限する弾道弾迎撃ミサイル制限条約(ABM条約)が米ソ間で結ばれた。

しかし、核ミサイルを迎撃するのに核ミサイルを使用したのでは放射性降下物などの被害が避けられないこと、核爆発に伴う大規模な電磁的障害のせいで敵国の第二次攻撃に対抗できないことなどから、このような核弾頭を搭載するタイプの迎撃ミサイル開発は次第に廃れていく。

SDI
1980年代に入ってから、アメリカ合衆国大統領ロナルド・レーガンは、戦略防衛構想(SDI, Strategic Defense Initiative /エス・ディー・アイ)構想を発表した。人工衛星に搭載したレーザー兵器や迎撃ミサイルによって、飛来するミサイルを破壊するというものであった。開発には巨額の予算が投じられたが、実現には至らなかった。なお、この計画は、当時の技術力ではあまりにも非現実的であったため、「スターウォーズ計画」とも言われている。

SDI構想については、現実味の薄い計画に無駄に大金を投じたという批判がある一方で、ソ連に対抗策を強要してその崩壊を早めさせたという意見もある。ソ連の崩壊を早めさせたという意見については、公開された当時のソ連首脳部の方針を根拠にしてカール・セーガンらが否定的な見解を出している。

GPALS
冷戦の終結後、ソ連の脅威に代わって戦域弾道ミサイルの拡散が大きな問題になった。そして湾岸戦争をきっかけに、弾道ミサイルの脅威が広く知られるようになると、ジョージ・H・W・ブッシュ政権の下、GPALS(Global Protection Against Limited Strikes / 限定的攻撃に対する地球規模の防衛構想)が提唱された。SDIが大国間の弾道ミサイル攻撃を想定していたのに対して、GPALSはより小規模な弾道ミサイル攻撃への対処を目的としていた。

迎撃方式も改められ、宇宙配備と地上配備の迎撃・追跡システムを組み合わせる事とされていた。後述のTHAADやパトリオットミサイル PAC-3が計画されたのはこのころである。

TMDとNMD
ビル・クリントン政権が、GPALS計画を破棄し、代わって打ち出したのがTMDである。これは、GPALSで予定されていた宇宙配備の迎撃システムを構築するためにはABM条約を破棄せねばならず、これを嫌ったためとされている。TMDでは地上配備型の迎撃ミサイルが迎撃の中心となっている。

その後、再びアメリカ合衆国本土を狙うことができる長射程の弾道ミサイルに対する懸念が高まった。具体的には、イランのシャハブ3や、北朝鮮のテポドン1などである。これらは射程が1000km前後であるものの、将来的には米本土に対する脅威になりえると見られていたからである。この脅威に対抗するために始められたのがNMDである。

現代のミサイル防衛
その後、これらの計画を引き継いだジョージ・W・ブッシュ政権は、NMDとTMDを統合してMDとし、大気圏外での迎撃実験を制限していたABM条約を破棄してICBM迎撃ミサイルの開発と配備を本格化させ、ヨーロッパへのMD網展開を検討するなど、前政権に比較してアメリカ本土を守るミサイル防衛に力を入れた。

なお、アメリカ以外でも弾道ミサイル迎撃能力を持つミサイルは開発されており、イスラエルのアロー(Arrow)や、ロシアのS-300などが知られている。

アメリカのBMD構想
弾道ミサイル迎撃の方法としては発射直後のブースト段階で破壊するもの、発射後大気圏外で慣性飛行している段階で破壊するもの、着弾前の再突入段階で破壊するものの3つに分けられる。基本的にこの3つは個々で使用されるわけではなく、あわせて使用され撃墜率を高める。

弾道ミサイルは射程1500km程度なら秒速4km、5500kmなら秒速6km、大陸間弾道ミサイルなら秒速8km以上で飛行し、射程1000km以上の物なら2段式から3段式になることから、長射程の弾道ミサイルほど開発するのが難しく、コストもかかり信頼性も落ちる。しかし攻撃側の弾道ミサイルが長射程になればなるほど、迎撃側のミサイル防衛システムの方が極端な高性能化が要求される事になり技術的な難易度は高くなる。

ミサイル防衛で使用される兵器は、弾道弾を所持する国家に対してその効用を全く失わせる万能兵器では無く、あらゆる政治的圧力をかける為の政治的兵器でもない。弾道弾と大量破壊兵器を併せ持つ国家は増えるばかりだがその種の国家の武力的恫喝に対する限定的な対処手段にすぎない限界を持っている。

早期警戒と指揮統制
弾道ミサイルの発射は早期警戒衛星によって探知される。衛星による早期警戒情報は極めて重要で、PAC-3開発時の推定によれば、早期警戒衛星の情報が無い要撃部隊単体での期待要撃率は、早期警戒衛星の情報がある場合に比べて半減するものと考えられている。

そのための衛星としては、現在はDSP衛星が用いられているが、その後継として、宇宙空間赤外線システム (SBIRS) 衛星が開発されている。SBIRS衛星においては、DSP衛星と比して、探知精度は5倍以上に向上している。これらはいずれも高感度の赤外線センサーを搭載し、特徴的な熱源を探知して、即座に地上ステーションに通報する。その情報は、米本土のMCS (Mission Control Station) または日本やドイツ、韓国の米軍基地に配置されたJTAGS (Joint Tactical Ground Station) で受信される。

これらの早期警戒情報は、米四軍の統合情報配布ネットワークであるIBS (Integrated Broadcast Service)によって各部隊に送信されることになる。米軍のイージスBMD艦においては、IBSに接続するための端末であるJTT (Joint Tactical Terminal)が配備されており、IBSで配布された早期警戒情報を受信することができる。

また、早期警戒情報に続いて、発射された弾道ミサイルを識別・追尾するため、低軌道を周回するSTSS衛星(旧称SBIRS(Low))の配備も進められている。衛星以外にも、航空機搭載型の赤外線センサーも研究されており、日本においては、エアボス (AIRBOSS)として試験が行われている。

上昇段階(ブースト・フェイズ)
ブースト段階での迎撃の利点は、ミサイル自体がまだ低速で、また弾頭を切り離す前であるため大きいことから、迎撃が比較的容易であることである。逆に欠点としては、常に迎撃可能な位置にいるとは限らないことである。またその性質上、敵領空内での迎撃となる可能性が高いため、制空権が確保されていない場合使用が困難でもある。この段階での破壊に用いられる兵器としては、ABL (Airborne Laser) やKEI (Kinetic Energy Interceptor) が挙げられる。

ABL (Airborne Laser) はレーザーを使用しブースト段階のミサイルを破壊しようとするものであり、米空軍において、AL-1 として開発中である。これは、サイエンス・フィクション的な威力によってミサイルを焼き切ったりするものではなく、弾道弾が上昇中のほんの一時期、ロケットモーターが全力で推進している状態でレーザー光を照射してやる事により、高圧状態のミサイル本体、特に推進剤タンク部分の外板に負荷を掛けて、ロケットを自爆させる兵器である。この原理上、燃焼が終了したミサイルには効力がない。つまり、ABLを領空内に侵犯させない限り、広い国土を持つ大陸国家(アメリカ、ロシア、中国、インド)への迎撃は、その射程から見て不可能である。

KEI (Kinetic Energy Interceptor) は大型の対空ミサイルで、この後の段階での迎撃に用いられているスタンダード・ミサイル3型(SM-3)やTHAADミサイルと同様、直撃によって目標を撃破する運動エネルギー投射体(Kinetic projectile)を使用する。地上発射型と、艦船搭載型の開発が進められている。

中間段階(ミッドコース・フェイズ)
目標となる弾道ミサイルが宇宙空間を慣性飛行している段階で、これを迎撃するために使われる兵器としては、スタンダード・ミサイル3型(SM-3)によるイージスBMDシステムや、地上発射型のGBI(Ground Based Interceptor)が挙げられる。なお、これらSM-3、GBIミサイルのいずれも、最終段階においては赤外線で目標を追尾し、ロケット・スラスターで微調整しつつ、直撃による運動エネルギーで目標を撃破する運動エネルギー投射体を使用しており、SM-3ではLEAP (Light weight Exo-Atmospheric Projectile:軽量大気圏外投射体)、GBIではEKV (Exo-Atmospheric Kill Vehicle: 大気圏外迎撃体)と呼ばれている。

イージスBMDとSM-3
イージスシステムはもともと優れた防空システムであるが、ミサイル防衛任務に使用するため、全体に改修が必要となる。従来、対空ミサイルとして使用されてきたRIM-66/67/156スタンダード・ミサイル2型(SM-2)は航空機迎撃用であり、高高度での弾道ミサイルの迎撃は不可能である。このため、弾道ミサイル迎撃専用のRIM-161スタンダードミサイル SM-3が新たに開発されており、これがイージスBMDシステムの主たる武器となる。

また、このスタンダードSM-3を適切に運用し、さらに高高度の弾道ミサイルを正確に捕捉・追尾するため、AN/SPY-1レーダーをはじめとして、イージス・システムそのものにも全体的な改修が必要となる。これらの改修はスパイラル開発のコンセプトに基づいて、イージスシステムそのものとは独立して進められており、2008年12月の時点で、アメリカ軍においてはイージスBMD3.6と呼ばれるヴァージョンが実戦配備されつつある。これは、2004年より進められてきた開発の最初のブロック(Block 2004)の最終型で、弾道弾の追尾能力とSM-3ブロックIAの発射能力を兼ね備えており、イージスBMDの初期配備体系とされている。

イージスBMD艦は、弾道ミサイル発射を知らせる早期警戒情報を受けて、通報された方向を中心に、特定の範囲にAN/SPY-1レーダーの能力を集中させて、濃密な走査を実施する。このとき、AN/SPY-1の最大探知距離は1000km以上にも達すると言われている。

SPY-1レーダーが目標を捕捉・追尾すると、その情報はイージス・システムの戦術情報処理装置(C&DとWCS)に入力され、射撃諸元が計算されて、SM-3が発射される。演習において、SM-3ブロックIAの交戦高度は通常150km程度であるので、射程1500km程度の準中距離弾道弾(MRBM)の場合、弾着まで7、8分と言われるがその間、複数回の迎撃が可能とされている。

さらに、2012年より配備される予定のイージスBMD5.0においてBMDと通常対空戦のプログラムは統合されて、2015年より配備開始されるイージスBMD5.1においては、改良型のSM-3ブロックIIAが採用される。射程は延伸されて、迎撃精度・威力も向上しており、より高速で高射程の射程5500km程度の中距離弾道弾(IRBM)まで迎撃可能になる予定である。さらにブロックIIBでは多弾頭型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)や潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)にも対応する予定である。

SM-3システムは、より高度な迎撃試験が段階的に繰り返し実施されていて、現在まで非分離型弾頭の迎撃、分離型弾頭の迎撃、分離型弾頭と推進部の2弾同時迎撃、弾道弾と航空機の同時迎撃などを、システムエラーや標的ミサイルの発射不能などの事例による失敗以外のほとんどで成功を納めている。

Xバンド・レーダーとGBI
GBI (Ground Based Interceptor) は大陸間弾道ミサイル (ICBM) より米本土を防衛することを目的とした地上発射型の3段式迎撃ミサイルで、07年末までにカリフォルニア州ヴァンデンバーグ空軍基地に3 発、アラスカ州フォート・グリーリーに21発が配備された。2009年末には計40発にする計画である。これに加えて、ポーランドに発射基地の建設を計画中であるが、ロシアの反発を受けている。ポーランドに配備される予定のGBIは、アメリカ本国に配備されているものから3段目のブースターを取り去った2段式となるとされている。

また、GBIシステムにおいて、目標の探知・追尾に用いるため、大型のXバンド・レーダーが開発されている。このうち、海上配備型のXバンド・レーダー (SBX: Sea-Based X-Band Radar)が既にアラスカに配備されており、推定探知距離は5,000kmとされている。また、地上配備型のXバンド・レーダーであるXBRも開発されており、プロトタイプのGBR-Pは1998年より、クェゼリン環礁のUSAKAにおいて試験中である。

なお、日本の車力基地に配備されているAN/TPY-2は、同じXバンドを使用するが、終末段階での目標捕捉を目的として、探知距離はより短い。軍用レーダーにおいて、Xバンドは本来、近距離での目標追尾に多用される周波数で、遠距離での捜索にはあまり用いられない。

終末段階(ターミナル・フェイズ)
終末段階、目標となる弾道ミサイルが再突入している段階で弾頭の迎撃に成功したとすると、弾頭の残骸や弾頭内の放射性物質が迎撃国領内に降り注ぐ可能性はある。だが、この事象による環境への影響は、原子力発電所の爆発事故や核爆発と比較すると、無視できるレベルと考えられている。この段階での迎撃に使用される兵器としてはTHAAD(Terminal High Altitude Area Defense)、パトリオットPAC-3システムが挙げられる。

THAADミサイル・システム
THAADミサイルは、主として大気圏外での迎撃を想定して開発されており、KEIやSM-3、GBIと同様に、赤外線で目標を追尾し、ロケット・スラスターで微調整しつつ、直撃による運動エネルギーで目標を撃破する運動エネルギー投射体を使用しており、THAADではKKV (Kinetic Kill Vehicle: 運動エネルギー迎撃体)と呼称されている。システムの再設計もあって計画は遅れたが、2009年より配備が開始される見込みであり、また、THAADミサイル・システムの一部であるXバンド、フェイズド・アレイ・タイプの移動式レーダー (FBX-T)は、その優れた探知能力を買われ、先行してAN/TPY-2として制式化され、2006年6月、青森県の車力分屯基地に前方配備された。

パトリオットPAC-3システム
一方、パトリオットPAC-3システムは既に実戦配備が開始されており、2003年のイラク戦争でも使用された。基本的には、従来より高射部隊によって使用されてきたパトリオットミサイル・システムをベースとしてはいるが、ミサイル本体が直撃することによる目標撃破を主眼として新規開発されたPAC-3ミサイルを使用し、また、射撃指揮装置もリンク 16に対応するなど改修されている。ただし、対弾道ミサイル攻撃においては射程が20kmと短く、迎撃可能範囲が小さいという問題が指摘されている。また、射程の短さに伴って交戦機会が少ない。また終末速度が高速になる中距離弾道ミサイル(IRBM)や大陸間弾道ミサイル(ICBM)や潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)には対応できないものとみられている。

PAC-3による防護範囲は、速度がマッハ6強(2km/秒)となる短距離弾道ミサイル(SRBM)に対しては、発射機より左右に各35km、前に30km、後に10kmの扇状の範囲(ギターのピックの形状)を迎撃できるが(PAC-2GEM+の能力が大きい)、ノドンなど、日本において直面する可能性の高い準中距離弾道ミサイル(MRBM)攻撃(速度マッハ10=3.7km/秒)では、薄い半径20kmの扇状の範囲にまで縮小する。ちなみにこの広さは市ヶ谷を起点として23区西部境界程度迄の広さで、1個高射群に4個、無線指揮車(無線によるリモートランチは30キロ圏程度可能)により部隊分割使用で最大8個までの首都圏近郊の高射部隊の内、埼玉からと、千葉からの展開で、市ヶ谷,朝霞,習志野の三点をもって首都枢要部をカバーできる能力に相当する。

湾岸戦争以来の開発の継続により、弾頭の改良、管制ソフトウエアのバグフィックス、アップデート、ロケット本体の新型化による高機動性の確保、即応弾の4倍増化、短射程を補うリンクシステムによる広域分散配置による要撃覆域の広域化を実現させ、イラク戦争時の実戦使用の戦訓[4]をもってほぼ仕様内での能力を確保することに成功した。 なお、PAC-3は直撃を旨とするものの、225グラムペレット24個と高性能炸薬も搭載しており、弾道弾の撃墜の可能性を高めるとともに、生物・化学兵器の無力化を狙っている。

日本におけるミサイル防衛

導入に至った経緯
日本では、1998年(平成10年)8月31日に行われた北朝鮮の弾道ミサイルテポドンの発射実験以来、北朝鮮の弾道ミサイル開発を日本の安全保障の脅威とみなしその動きを注視してきた。このため、米国のミサイル防衛計画の進行を鑑みて、小泉純一郎内閣は2003年(平成15年)12月19日の安全保障会議および臨時閣議によって、『日本版弾道ミサイル防衛(BMD)』のシステム導入を決定した。同日付で閣議決定「弾道ミサイル防衛システムの整備等について」(計画概要、総合的な防衛力の見直し、BMDが集団的自衛権に利用されるものではない旨の説明)を発表、同時に福田康夫官房長官(当時)が周辺国に脅威を与えるものではないことを旨とした補助的な談話を公表した。

構成
日本のミサイル防衛作戦は、航空総隊司令官が兼務するBMD統合任務部隊指揮官によって一元的に指揮・統制される。この際、アメリカの協力が不可欠であることから、航空自衛隊の航空総隊司令部を横田基地に移転し日米共同の作戦センターを設置する予定である。その基幹回線としては、新自動警戒管制システム (JADGE: Japan Aerospace Defense Ground Environment)が使用される。JADGEに対しては、2008年度までにミサイル防衛システムとの連接するための改修設計と製造を完了し、2009年度にFPS-5と連接、2010年度にXバンドレーダーと連接、2011年度に適合化改修を完了させる予定である。

また、在日米海軍は横須賀港にアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦「フィッツジェラルド」、「カーティス・ウィルバー」、「ジョン・S・マッケーン」、「ステザム」、「ラッセン」、「マスティン」「マクキャンベル」を弾道ミサイル監視艦として、タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦「シャイロー」を弾道ミサイル迎撃艦として配備している。

さらに在日米空軍は、常駐ではないが沖縄の嘉手納基地へRC-135やWC-135などを展開させ、弾道ミサイル実験の光学/電子情報収集や、大気中に浮遊する放射性物質の観測・収集を行い、北朝鮮に対し日米共同でミサイル防衛体制を敷いている。

早期警戒
日本の保有する情報収集衛星は、原理的にリアルタイムでの情報収集は不可能であり、衛星による早期警戒情報は、基本的には米軍に頼ることになる。米軍の三沢基地にはJTAGSが配備されており、早期警戒衛星からの警報はここで受信して、新自動警戒管制システム (JADGE)に入力することができると考えられている。

航空自衛隊高射部隊のパトリオットPAC-3部隊は、弾道弾発射から交戦までの時間的な猶予が比較的大きいことから、JADGEの地上回線を経由して受信するものと見られている。

一方、海上自衛隊のイージスBMD艦については、少なくとも二つの経路が考えられている。#アメリカのBMD構想で触れたように、米軍のイージスBMD艦にはIBS/JTTが配備されており、IBSで配布された早期警戒情報を受信することができる。このとき、日本のイージスBMD艦が米艦の見通し距離内にいれば、高速のデータリンクであるリンク 16で早期警戒情報を受信することができる(リンク16は特性上、見通し距離でしか使用できない)。また、日本のイージスBMD艦の一部は、リンク16の衛星中継版であるS-TADIL Jを装備しているので、この経路を通じて受信することもでき、この場合には米艦と見通し距離を維持している必要はない。この場合、将来的には日本側の地上施設からS-TADIL J経由で送信することも考えられる。

一方、エアボスやFPS-5警戒管制レーダーなど、日本独自の早期警戒の試みもなされている。

エアボス (AIRBOSS)
エアボス (AIRBOSS)はAdvanced Infrared Ballistic-Missile Observation Sensor Systemの略称で、日本防衛省の技術研究本部によって開発された将来センサシステムである。日本版コブラボールとも呼ばれており、米軍の早期警戒衛星と同様、赤外線センサーを使用するが、航空機に搭載して運用するため、目標背景が宇宙空間となり、衛星情報より優れた部分もある。将来センサシステム(搭載型)としてUP-3Cを試験母機に開発が進められており、2005年(平成17年)11月と2007年(平成19年)12月に米ハワイ州での弾道ミサイル探知試験で捜索・探知・追尾に成功した[7]。

FPS-5警戒管制レーダー
FPS-5は、航空自衛隊の各方面航空警戒管制団に配備される予定の警戒管制レーダーで、開発時の名称は将来警戒管制レーダー (FPS-XX)と呼ばれていた。航空機による領空侵犯とミサイル防衛の双方に対応できる併用レーダーであるが、その優れた長距離探知能力から、発射直後のミサイルを探知して早期警戒情報を発信できるものと期待されている。これはLバンドとSバンドの2波長帯域を使用し、探知距離は数千キロとされている。アクティブ・フェーズド・アレイ・レーダーであるが、そのアンテナの球状カバーの形状から、ガメラレーダーとも通称されている。2008年度から2011年度までに、青森県(大湊)、新潟県(佐渡)、鹿児島県(下甑島)、沖縄県(与座岳)にある航空自衛隊の各分屯基地に1基ずつ計4基が配備される予定である。

中間飛行局面(イージスBMD)
早期警戒情報を受けて、日本のミサイル防衛部隊はこれを迎撃することとなる。日本が保有しているミサイル防衛資産のうち、最初に交戦することとなるのが、イージスBMDシステムを備えた海上自衛隊の海上構成部隊である。

上述のとおり、アメリカ軍においてはイージスBMD3.6と呼ばれるヴァージョンが実戦配備されつつあるが、日本においては、その日本版としてイージスBMD3.6JまたはJB1.0と呼ばれるものが開発されている。オリジナルのイージスBMD3.6との主たる相違点は、IBS/JTTを搭載しないことである。これはこんごう型護衛艦2隻に既に搭載されており、残り2隻は2010年度までに毎年1隻ずつ改修する予定である。イージスBMD3.6J搭載艦は、2隻の作戦配備艦で南西諸島を除いた日本全土をカバーできる能力を持っている。

また、イージスBMDシステムにおいて重要な要素であるSM-3ブロックIIの発展開発は日米共同で行われており、これによって開発されるSM-3ブロックIIAは2015年より配備開始される予定のイージスBMD5.1に組み込まれる。イージスBMD5.1搭載艦は、1隻で南西諸島を除いた日本列島全域を防護可能であり、また、より高速で高射程の射程5500km程度の中距離弾道弾(IRBM)まで迎撃可能になる予定である。

終末航程(パトリオットPAC-3)
イージスBMDシステムがミッド・フェイズでの迎撃に特化している、弾道ミサイルの終末局面(ターミナルフェイズ・再突入から着弾期)での迎撃を行うのは航空自衛隊の高射部隊が保有するパトリオットミサイル PAC-3であり、その攻撃を行うための目標の捕捉・追尾を行うのは、地上配備型の警戒管制レーダーFPS-3改とFPS-5である。警戒管制レーダー(FPS-3改・能力向上型)は、既存のFPS-3に対して2008年度に3基、2009年度に4基の能力向上を施し、ミサイル防衛に対応させる。

また、航空自衛隊車力分屯基地には、AN/TPY-2警戒管制レーダーが配備されている。これはトレーラーほどの大きさの移動式前方配備型Xバンドレーダー(FBX-T)で、THAADミサイル・システムで利用されているレーダーを転用したものであり、米軍が運用するが、探知距離が短い(1000km以下)ことから、日本における終末航程防空用であると考えられている。

パトリオットPAC-3システムには、射撃管制装置など各種装置と、PAC-3とPAC-2GEM+(PAC-2改2型)のミサイルが含まれる。システム名とミサイル名が同一である為に間違い易いが、PAC-2GEM+も弾道弾迎撃のため改良されたミサイルで、弾道弾迎撃能力を有しており、混合配備も行われる。

航空自衛隊の1個高射群は4個高射隊により編成されていて、基本的に1個高隊は1個のファイヤユニットで編成される。1ユニットの編成は射撃管制装置・レーダー装置・アンテナマスト・電源車・無線中継装置・発射機5機からなる。(MD対応部隊では3機にPAC-2・2機にPAC-3を搭載)2007年度までに4ユニットが配備済み、2008年度から2010年度までに毎年4ユニットずつが配備される。(2007年度に第1高射群配備・2008年度に高射教導隊と第2術科学校配備、2009年度に第4高射群配備、2010年度に第2高射群配備)。2011年度と2012年度に各年1ユニットずつの予備用を取得する。

運用体制
ミサイル防衛にはアメリカの協力が不可欠であることから、航空自衛隊の航空総隊司令部を横田基地に移転し日米共同の作戦センターを設置する予定である。航空総隊司令官がミサイル防衛等の統合任務部隊の指揮官となる。

ミサイル発射を最初に捉えるのは早期警戒衛星である。そのため、PAC-3開発時の推定ではあるが、早期警戒衛星の情報が無い要撃部隊単体での期待要撃率は早期警戒衛星の情報がある場合に比べて半減する物と考えられている。 イラク戦争時の先例では比較的低速な短距離弾道ミサイルの弾着までの余裕は7分強あり、早期警戒衛星が敵弾道ミサイルの発射を確認するまで10秒以内、防空部隊への情報伝達は3.3分まで短縮され、防空部隊がレーダーで補足する前までに1分間の余裕が稼げたと伝えられている。 米軍発表によると既に06年9月以来、日米間の運用訓練が実施され両国イージス艦及び空自のAWACS等による情報の共有訓練が重ねられており、第5回目の訓練では官邸への第一報も訓練に加えられた。敵から弾道弾を発射された場合を想定した実艦訓練では官邸サイドへの伝達時間は、理想状態で発射確認から1分と伝えられている。

ミサイル防衛が有効に機能するためには迅速な判断が必要とされ、2005年(平成17年)に改正された自衛隊法によって、ミサイル防衛システムで迎撃する際の手続きが簡略化された。これによって2007年(平成19年)度から開始されるミサイル防衛システム配備の法的な整備が整った。実際に迎撃するにあたり現場の指揮官に大幅な裁量を認めているため、シビリアンコントロールが確保されていないとして問題視されることがあるが、数分以内で対応できなければ甚大な被害を受ける可能性があるため、権限を制約しこれ以上時間をかけることは難しいと考えられている。

現状
ミサイル防衛システムは2004年(平成16年)度から調達が開始され、2007年(平成19年)度から順次運用開始している。2009年現在、海上自衛隊が弾道弾迎撃能力を保有したスタンダードミサイル SM-3を搭載可能なミサイル防衛対応型イージス艦を長崎に実戦配備しており、航空自衛隊が弾道弾迎撃能力を保有した「パトリオットミサイル PAC-3」を第1高射群及び第4高射群に実戦配備している。

将来
日本では2011年度までに、これらの迎撃ミサイルシステムや各種レーダー等を増備し、当初のミサイル防衛体制の構築を完了させる予定である。 現在、次世代型「スタンダードミサイル SM-3」をアメリカと共同開発中であり、開発が完了する2015年以降はミサイル防衛の更なる能力向上が予定されている。 さらに、防衛省は2007年5月、ミサイル迎撃のための高出力レーザー兵器の研究、開発に2008年度から着手する方針を決めた。北朝鮮のミサイル発射や核実験で日本上空の脅威が高まる中、本土防衛に直結する地上配備型レーザーの研究、開発を目指す。将来的には航空機搭載レーザー(ABL)についても検討する。他にもスタンダードミサイルやパトリオットミサイルを用いた現行の2段構えの防衛体系を3段構えにする為、THAADミサイルの導入を検討中である。

是非に関する議論
ミサイル防衛計画に対し、それぞれの立場・見地から批判がある。

【主にパワーバランスを重視する立場から】ミサイル防衛は相互確証破壊(MAD)による安定を崩壊させる。先制核攻撃を容易にし、核戦争の危機と軍拡を引き起こしかねない計画は進めるべきではない。相手もまた同様の装備の導入を計画していると考えるべきだ。
【特に日本における反戦・反米の立場から】弾道弾が米国その他日本以外の国を狙ったものであってもこれを迎撃するのであれば、集団的自衛権の行使になりかねず、日本国憲法第9条に違反する。また「日米一体化」に拍車を掛ける。
【コストパフォーマンスを重視する立場から】ミサイル防衛計画は、その推進にも維持にも莫大な費用が必要であり、アメリカですら予算削減を検討せざるを得ない現状である。しかし、それに見合った迎撃効果はこれまで一度足りとも得られておらず、ミサイル防衛における最大の問題でもある100%の撃墜率の達成は不可能と判断せざるを得ない。反面、ミサイル防衛をすり抜けるような核ミサイルを開発することは容易である(単に飽和攻撃を行えばよい)。そして核ミサイルは、たった1発が防御をすり抜けただけで、マジノ線を突破されたフランスのように甚大な損害をもたらす。これは、攻撃側に先制攻撃の誘惑を断ち切らせることは出来ず、同時に防御側も、システムに対する信頼性の不安感から、相手国への先制攻撃の誘惑を断ち切ることが出来ない。つまり、軍事の本質である抑止力の点で効果が薄い。従って、このような計画への予算で正面戦力を削減することは、コストパフォーマンスや抑止力に見合わず、他の防衛手段を模索するべきである。現実問題として、ロシアが、冷戦時代に建設したABM基地の1つをかろうじて維持していることを除けば、核保有国ですら本土防衛用として、ミサイル防衛システムを運用していないのが現実であり、一発でも迎撃できた方が良い程度のシステムの為に他の防衛予算を削るのは抑止力として無為にすぎない。
【実用の面から】防衛省は“実験は成功”と主張するが、予め着弾点が分かっているものを撃墜するのは容易。“いつ”“どこに”落ちるか想定出来ない(或いは数分以内に算出しなければならない)ミサイルを撃墜するのはほぼ不可能。
上記のような批判に対して、特に日本において以下のような反論がある。

【主にパワーバランスを重視する立場に対して】中国は実際に軍拡を続けており、将来的にも継続されると推測され、このままでは日本との勢力均衡が維持できないので、ミサイル防衛は是非とも必要である。一般論としては相互確証破壊の安定とは、全面核戦争の危険を伴う「恐怖の平和」であり、「核に核で対抗する」という悪循環から脱却する代替の手段としてもミサイル防衛は有用である。相手も同様の装備を保有する可能性があるとの示唆は、そもそも日本が核武装していないので相手国がMDを保有する事は日本にとっては影響が無いと考えられる、日本側からすれば、むしろ相手にとってはMDを配備する事が経済的な負担を掛けるだけである(これにより相手側の核戦力の配備を抑える効果も期待出来る)。そして、MDは防衛兵器であり「防衛兵器で相手の攻撃を防止すれば、攻撃が行い易くなり、攻撃を補助する事になり、MADを崩壊させる」というのなら、本質的にはありとあらゆる防衛兵器にも当てはまる事であり、ミサイル防衛に(だけ)適用しても無意味な論であると考えられる。
【特に日本における反戦・反米の立場に対して】集団的自衛権について、安倍晋三首相(当時)は、「米国を狙った弾道ミサイルを迎撃することが法的に可能であっても技術的に不可能」との主旨を発言している。米国を狙った弾道ミサイルの迎撃能力がないなら、集団的自衛権が法的に行使可能だとしても、実際に実行するのは不可能なので、(ミサイル防衛について)集団的自衛権の議論を持ち出すには及ばない。
【コストパフォーマンスを重視する立場に対して】コストパフォーマンスの面でも最適解となるのはミサイル防衛であると考えられる。先制攻撃(予防攻撃)あるいは報復核戦力の保持は、現状の日本の法体制下で、実現する可能性が極めて低い(参照:専守防衛)だけでなくその有効性にも疑問が持たれる。先制攻撃については、実戦で開けた場所にある固定の発射台で弾道ミサイルが運用されるとは考えにくく、巧妙に擬装された発射台(地下ミサイルサイロ、起倒式移動発射機)から発射される可能性が高いため、弾道ミサイル発射準備を事前に発見できず先制攻撃自体が困難であり、却って発射台を攻撃する前に弾道ミサイルが発射されるおそれもあるとされる。具体的な先例として、湾岸戦争時に多国籍軍はイラクのスカッドミサイル発射機への攻撃に大きな航空戦力を割いたが、移動式ランチャーはわずかしか破壊出来きず、スカッドの発射は終戦間際まで続いた。また、イスラエルの保有する報復核戦力はイラクの弾道ミサイル攻撃を抑止する事ができなかった。これに対して現状で100%の迎撃が不可能だとしても、ミサイル防衛は度重なる実験によって迎撃率と信頼性の改善が続いており、これに反比例して攻撃側にとって攻撃失敗のリスクは増加していくため有効な抑止力となると考えられる。また、全ての核兵器を迎撃出来なくても核兵器一発でも国民の生命と財産に甚大な被害を与えるため一発でも迎撃できた方が良いと考えるべきである。そもそも、核兵器を含み、あらゆる兵器やシステムで100%有効な手段というものは元々存在しない、よって100%有効な手段という議論自体が無意味である。弾道ミサイルは長距離砲弾のようなものでリアルタイムで目標を切り替える様な能力は無く、マジノ線のような陸戦部隊と比較するのはそもそもお門違いである。飽和攻撃については、迎撃する側も防衛機材を多く揃えればよい、その事により核兵器保有側も厳重な防衛を突破するために大量に攻撃用の機材を揃えなくてはならず、それにより攻撃側(そして防衛側も)の経済的な負担も増し、後は防衛側、攻撃側のリソースの限界の話となる。
【軍産複合体を肥やすだけという立場に対して】他に有力なミサイル防衛の代行手段が考えにくい以上は、ミサイル防衛に関する機材を米国から購入する以外の選択肢は考えにくく、日本独自にミサイル防衛技術を一から構築する事は、コスト的にも技術的にも難しいとされる。またそもそも現在の軍事的・経済的状況において、軍産複合体そのものが現在存在せず、存在する余地がなく、空論であるとされる。
【実用の面に対して】時刻を指定しない不意打ちでの迎撃実験は何度も行われている。
意見を集約しまとめると、

MDという手段に対する否定、もしくは拒否する意見
MDという手段の実用性に対する否定、もしくは強い疑問を持つ意見
MD自体の能力については了解するものの、その導入経費が防衛費を圧迫する状況に対しての懸念
MDシステムの着実な発展を手がかりに、賛成する意見
となる。

ミサイル防衛に関する議論の内容はその性質上、技術的課題に未知数な部分が残り、防衛政策(及び、安全保障政策)上の問題のみならず、経済的問題、政治イデオロギー的な課題が複雑に絡み、客観的かつ的確な議論を行うことが難しいとされる。


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◆今日の格言(09/17)◆
人生の教訓がここに!偉人の名言・格言


我々の一生の前半は親によって、後半は子供によって台無しにされる。

クラレンス・S・ダロウ

◆今日の雑学(09/17)
ムダ!?で役立つ知識


いい男を「二枚目」というが、これは歌舞伎の番付からきたもの。人気役者が一番目、二枚目がいい男、そして道化役者が三枚目に書かれたので、滑稽な人を三枚目という。

◆幸福の格言(09/17)
結局幸せって!?


幸福であろうと思えば、「こうでさえあったらなあ」という言葉をやめて、その代わり、「今度こそは」という言葉に変えなさい。

スマイリー・ブラントン

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